雪の日の過ごし方

雪が降るとワクワクする。

大人になると雪かきなど楽しいことばかりではないのに、それでも気分が昂る。

 

アメリ東海岸では週末に大きなウィンターストームが来ると警報が出た。

金曜日はどこのスーパーも大混雑で、かなり食糧がなくなっていたようだ。

買物に行ってくれた夫の空は、「今日のスーパーは面白い光景だったよ」と言っていた。

アメリカ人は週末に家族みんなで買物をする。

普段はお母さんが買物リストを持って、食糧を次々と大きなカートの中に入れていく。

この日はあまり一人で買物をしないお父さんたちが欲しいものが見つからず、商品がどこの棚にあるのか?情報交換しながら買物をしていたようだ。

海が働いている農場の直営店でも午前中からお客さんからの「買いたい野菜がない」というクレームでバタバタだった。

自分の仕事が終わってから、直営店のための野菜の収穫を頼まれた。

 

空にお願いした買い物はワインとクリームチーズ、クラッカー。

飲む気満々だ。

日本にいたとき飲兵衛だった海は、雪の日はかならず「雪見酒」をしていた。

日本酒の美味しい飲み屋に行って、熱燗を飲みながら美味しいおつまみでほっこりするのが大好きだった。

こういう時に飲みに行くのは歩いていける知り合いの店。

どんなに雪が積もっても、歩いて帰れる距離なので心配なく飲んでいられた。

アメリカの田舎町で売っている日本酒は、日本の3倍以上の値段の月桂冠のみ。

だからアメリカでの雪見酒はワインになる。

海が東京で飲食店を経営をしていた時、天気が荒れる日に必ず来てくれる常連さんがいた。

特に台風が大好きな人で、「今日は誰もお客さんが来ないかな?」と思う日でも、その常連さんのためにお店を開けていた。

もちろん雪の日も来てくれる。

定年間近で金銭的にかなり余裕のある人だったので、電車が止まる心配などまったくしないで大荒れの天気を楽しんでいた。

どんなに歳を重ねても、ワクワクする感覚はなくならないようだ。

 

雪の日に無性に食べたくなるものは、いつも決まってクリームシチュー。

子供の頃から見ていたテレビCMの影響だろうか?

普段はめったにクリームシチューを食べたいと思わないのだが・・・

タイミングよく、ミルク屋ボブの美味しいミルクをファーマーズマーケットで買っておいたので、この日のメインはクリームシチューに決定!!

冷凍しておいた鶏モモとスモークハムも解凍して、空が雪かきをしてくれている間に食事の準備。

この日のメニューは、ケールの煮浸し(1品目はお腹に優しく)、甘い紫カブとスモークハムのソテー、具沢山のクリームシチュー、そして空が焼いたスペルト小麦のミルクパン。

ワイン、クラッカーとクリームチーズで完璧だ!!

映画を観ながらダラダラ飲むはずだったが、YouTube動画にハマってしまって映画まで届かず。

昔はワインを一人で軽く2本は開けていた飲兵衛は、今はかなり弱くなっている。

飲んでいる時はいいのだが調子に乗ると次の日が大変なので、最近はグラス1、2杯と決めている。

でもこの日は雪見酒。楽しい気分で3杯目までいってしまった。

雪見酒と言ってもあまり雪を見ることはなく、ただただ飲んで食べて楽しんでいるだけである。

 

一生に一度やってみたい雪見酒は、日本の北の温泉宿で露天風呂に浸かりながらちびりちびり熱燗を飲む。

いや、冷酒の方がいいかもしれない。

お風呂から上がったら浴衣を着て美味しい和食を楽しみながら、障子越しに雪を見ながらお酒を飲む。

最後はふかふかの布団に倒れ込む。

いつかはこんなシチュエーションを作りたい。

「やっぱり露天風呂付きの部屋じゃないとダメかな?」

こんなことを考えながら、妄想をふくらましている。