家族経営の農場で働き始めてから約半年。
今の農場がどんどん大好きになっていっている。
オーナーのマットを中心に、家族がみんなで協力しながら営んでいる農場は、たくさんのお客さんに愛されている。
その中に72歳のヴィッキーがいる。
彼女はマットからすると義理のお母さん。妻のステファニーのお母さんだ。
ヴィッキーは農場の手伝い、孫たちの面倒で大忙しだ。
72歳とは思えないほどパワフルに働く。
多い時は週3、4日畑に来て、畑仕事を手伝っている。
冬の間はマットの友人の農場に人参やビーツを買いに、片道3時間半のドライブを月に2回ほど一人で行っていた。
「ヴィッキーは信じられないほどタフだね。私の理想の70代だよ。私もヴィッキーを追いかけていくからね」
「そんな風に言ってくれて嬉しい。私は忙しい方が好きなの。そして家族に必要とされているのなら、忙しいマットやステファニーの助けになるように当然のことをしているだけ」
ヴィッキーは何よりもマットのことを信頼し愛している。
「娘がこんなに素敵なマットと結婚してくれてとても感謝しているの。彼は最高に素敵な息子」
こんなに仲が良く協力し合っている家族は珍しい。
ヴィッキーは娘家族と程よい距離を保っている。
余分なことは一切口出しせず、マットやステファニーがして欲しいと思っていることだけを一生懸命やるだけ。
自分の意見もほぼ言わない。
農場では、ただただマットの為に・・・と一生懸命働いている。
マットがいつもする仕事をヴィッキーが「私がやっておくから・・・」と言うので、海がお節介にも口出ししてしまった。
「ヴィッキー、ちょっとマットのことを甘やかしすぎじゃないの?」
「いいの。可愛い息子だもん。甘やかしちゃうの」
孫たちもおばあちゃんのことが大好きで、しょっちゅうお泊まりに行っている。
甘いクッキーやアイスクリームが大好きで偏食の孫たちのことを心配しているが、海には心配事を言ってもマットやステファニーには言わないようにしている。
”親しき仲にも礼儀あり”
まさにヴィッキーはこのことを心得ている人だ。
70代になっても農作業を手伝い、疲れた素振りも見せずに毎日を忙しく過ごしている彼女はまさに海にとっての理想の生き方。
日本にいた時も素敵な年上の先輩に囲まれていたが、アメリカでも理想とする素敵な先輩とのご縁。
ヴィッキーの背中を追いかけて行くぞ!!