元同僚とまた一緒に仕事!!

今働かせてもらっている農場は、家族でやっているとても小さな農場。

オーナーのマット、奥さんのステファニー、そして近くに住んでいるステファニーのご両親が力を合わせて有機農法の畑と畑の敷地内にあるグロッサリーストアを経営している。

最近は11歳の息子グレイソンも、学校が終わった後に手伝いをしている。

下の息子のジェイコブは5歳でまだ遊びたい盛り。

 

去年の8月に突然「マットの農場で働きたい」思い、その場ですぐにテキストメッセージを送った。

その時はまだ大きな農場で働いていて、農作業中に急に思い立ったのだ。

元々マットの野菜のファンで、彼の農場の「ベジクラブ」という野菜が10%引きになる会員になり、ファーマーズマーケットで買い物をしていた。

3年前にグロッサリーストアがオープンした時は、どんな雰囲気のお店なのか?すぐに偵察に行った。

マットの見た目はちょっとイカツイ感じだが、野菜から彼の愛情を感じていた。

その時に働いていた大きな農場で作っている野菜と「見た目」「味」「佇まい」が違っていた。

野菜たちがみんな喜んでいるように見えた。

 

大きな農場で働いていた時、ローラという同世代のアメリカ人がパートタイムで入ってきた。

彼女はアルバイトの学生たちと一緒に、流れ作業の中に入ってパック詰や袋詰めの作業をしていた。

黙って黙々と仕事をし、時間になったらサッと帰るという印象のローラだったが、話してみたら大違い。

逆にローラは「この職場は誰もしゃべらないし、雰囲気があまり良くないね」と言い、歌が好きな明るい人だった。

自分でパーマカルチャー農場を作りたいという大きな夢を持っていた。

この大きな農場では「やってはいけないこと」を学んでいると言い、自分で始める前の良い勉強になっていると・・・

海もパーマカルチャーに興味があり、何冊かの本を読んでいたのでローラとはとても気があった。

話の流れでローラの土地を借りて、自分の小さな畑を持つことができた。

ローラと一緒に仕事がしたくて、海が担当してたCSAというプロジェクトを手伝ってもらうことになった。

CSAというのは日本では地域支援型農業と呼んでいるらしい。

いろいろとやり方はあるようだが、地域の人から代金を前払いしてもらって、定期的に作物を提供するというシステムだ。

海が働いていた農場ではシーズン毎に会員を集め、夏は12週間、そのほかのシーズンは10週間、毎週1回オリジナルバッグに野菜を詰めて取りに来てもらうというシステムだった。

取りに行く場所はファーマーズマーケットや、取引をしているグロッサリーストアなど数カ所。

取りに来てもらう曜日に合わせて、野菜を収穫、洗って袋詰めするというのが仕事だった。

仕事をすべて任されるようになってからは、毎週袋に入れる野菜のリスト作りやそれに合わせて種を蒔いたり植え付けをしたり、やる仕事が多くなり一人ではできなくなっていた。

そんな時にローラが入ってきたので、上司にお願いしてローラに手伝ってもらうことになった。

ローラとのコンビネーションは最高!!

お互いに得意なことと不得意なことが違うので、とても良い流れで仕事ができるようになった。

そんな時に海は突然マットに連絡。

そしてすんなりマットのところでの仕事が決まって、2022年夏のCSAが終わってから辞めることになった。

3週間のブレイクをしてから秋のCSAが始まることになっていたが、CSAのメンバーの中にローラの名前はなかった。

ローラも結局辞めることになった。

もう学ぶことは学んだし、ガソリンが高くなって通うのに45分のメリットはないと・・・

家の近くで仕事を見つけると言っていた。

それから3ヶ月、ローラとは顔を合わせることはなくなった。

それまでは畑仕事(ローラの土地で)をしていると愛犬のグレッチェン(シェパード)と一緒に様子を見に来てくれていたが、仕事が見つからないで家にいる間は、まったく顔を出さなかった。

 

マットの農場は家族の他、3人のメキシカンのパートタイムの人たちが働いている。

アミーゴは3つも仕事を掛け持ちしているミゲル。そして主婦のアナイとラケル

主婦の2人が近々辞めることになった。

アナイは妊娠していて体がキツくなってきたようだ。ラケルは妹家族が住んでいる都会に引っ越すことになった。

都会は仕事がいっぱいあるし、時給も高い。彼女たちはお金が良ければ仕事内容を選ばない。

楽しんで農場で働いている海のことが不思議な存在みたいだ。

彼女たちにとったら、お給料が低くて大変な仕事を好んでやっているなんて・・・という感じらしい。

メキシコの人たちにとっての仕事は、楽しみややりがいではなく、あくまでも生きていくためのもので、お金が良ければ何でもやる。

 

「マット、アメリカ人を雇うことはどう思う?」

「海、誰か知っているの?」

「前の農場で一緒に働いていたローラがまだ仕事を探しているか聞いてみようか?彼女は農場で働くのが好きな人だし、私は彼女みたいな人とまた働きたら最高だな〜と思って」

「ローラに聞いてみて!!」

すぐその場でローラに連絡をしてみた。

「ローラ、まだ仕事を探してる?」

「うん」

「私が働いている農場で働くのはどう?」

 

ローラは一度マットと話したいと、連絡をしたその週の金曜日に面接に来ることになった。

金曜日の9時にローラはやってきた。

「海、ローラを畑に案内してきてくれる?その間に準備をしておくから」

ローラを連れてマットの元へ戻って、海は席を外そうとしたら、「海も一緒に・・・」と言われ、面接に一緒に参加することになった。

アメリカ人の面接は、雇う方も雇われる方もきちんと言っておきたいことを明確にする。とても勉強になった。

そして次の週の水曜日にお試しで働くことになった。

マットがローラに求めている仕事は、前の農場でローラがやっていた事プラス・・・

たくさんの人を雇えない小さな農場では、仕事がたくさんあるので前の農場よりもやることは多い。

「このお試しが終わったら、どういう流れになるの?マットからの連絡を待つの?」

「いや、マットはもうウェルカムだよ」

「っていうことは、私次第ってこと?」

「うん、ローラ次第だよ」

ローラは仕事を気に入ってくれたようで、次の週から働くことになった。

 

ローラが働くことを決めた週末、海が自分の畑に行ったら、ローラが前のように自分のところで採れた卵をもってグレッチェンと一緒に来てくれた。

「海、仕事を紹介してくれてありがとう。お金がないと、これからの自分のプランもたてられないからね。また計画を立て直してやっていけるよ」

またローラと仕事が出来ることが本当に嬉しい。

2023年のスタート、すでにとっても良い流れになっている。