アメリカの田舎町 クリスマスとお正月

アメリカの田舎町では、お正月はただ年が変わるというだけで特別な日ではなく、ほぼ普通の日と変わらない。

都会では花火が上がったり、イベントがあったり、町中がお祭り騒ぎになるところもあるが、海が住んでいる田舎町はとっても静かだ。

 

アメリカの最大のイベントはクリスマス。

その1ヶ月まえのサンクスギビングも、家族で集まり食事を楽しむ大イベントだ。

11月に入るとクリスマス商戦が始まり、みんな家族へのプレゼントのためにお金をたくさん使う。

親とは一緒に暮らしていない学生の子たちも、大忙しだ。

以前一緒に働いていた大学生カップルのジェスとフィルにクリスマスの予算をきいていてみた。

はっきりとした数字ではなかったが、親戚の子供たちには数百円程度のお菓子などだが、兄弟や親には数千円から数万円のプレゼントを用意すると言っていた。

特にフィルはイタリア系の大家族なので、10万円弱くらい使うと言っていた。

 

海が働いている農場は家族で営んでいる小さな農場。

奥さんのステファニーのご両親は近くに住んでいて、日頃から畑の手伝い、子供たちの面倒をみている。

オーナーのマットの家族は他州に住んでいるので、年に一度クリスマス休暇をとり、家族の元へ帰る。

アメリカの田舎の人たちのクリスマスの過ごし方は、昔の日本のお正月のようだ。

みんな里帰りして、家族と過ごすのが一般的だ。

マットとステファニーの2人の子供たちの学校は、クリスマス前後で10日から2週間ほどの冬休み。彼らは1週間のクリスマスバケーションでマットの実家に帰った。

一緒に働いているメキシカンの同僚たちもクリスマス休暇で、海は畑のことをすべて任された。

ちょうどクリスマスのこの時期に大寒波が来て、この土地に7年間住んでから初めての−12℃という体験をした。

気温だけではなく突風も吹き、外に5分も立っていられないような天候。

マットが心配して連絡をしてきた。

「海、悪いけど明日畑のチェックに行ってくれないかな?」

マットの心配は的中して、7棟あるうちの1つのグリーンハウスが倒壊していた。

 

29日(木)に畑に必要な仕入れをして帰ってきたマットは、30日から仕事復帰。

週に2日、金曜日と土曜日に開ける畑の敷地内にあるグロッサリーストアは、31日(土)はもちろん営業する。

バケーションを終えて帰ってきたマットは、働く気満々だ。

30日は残業に・・・。

 

日本人の海にとっては、クリスマスよりもお正月の方が大切。

30日の仕事帰りにお正月に飲むビールとワインを買って帰った。

お正月は飲むぞ〜!!と飲兵衛の父親から引き継いだ、これが海のお正月。

31日は昼から仕込み。普段は主夫をしてくれている夫の空が料理の担当だが、スペシャルディナーの時は海の出番。

晦日は洋食+赤ワイン、元旦は和食+ビールにした。

2日からは普通に仕事なので、農アスリートとして元日は体に負担をかけないようなメニューにした。

31日のメニューはレタスサラダ、根野菜のグリル、鹿肉ハンバーグのトマト煮込み。

その後に年越しそばを食べる予定だったが、辿りつけず。

元日の朝はお雑煮、そして夕方からブロッコリーのサラダと筑前煮、焼き鮭、お赤飯、お味噌汁。

日本の人からみたら質素なお正月料理に移るかもしれないが、日本食材が手に入り難い田舎町で、お餅、お赤飯が食べられるだけでスペシャル感満載だ。

しかも普段はリンゴと手作りクッキーの軽いランチとディナーの1食半。

朝お雑煮を食べただけでも気分はお正月。

 

一年の計は元旦にありということで、朝、空を早く起こして、自分達の畑から初日の出を見ようと出かけた。この時期の日の出は7:20分くらいなので6:30に家を出た。

やっぱり日本人は新年に重きを置く。

どこに住んでいても元旦の朝は気持ちがパリッとする。

 

1月2日から仕事も学校もスタート。

いつもと変わらない日常が始まった。

アメリカでは11月のサンクスギビングからクリスマスまでは浮き足立っているが、それが終わると普通の日。

時間やお金に余裕がある日本人は、お正月は日本で過ごす。

アメリカのお正月は日本人にとっては、さっぱりし過ぎなのだろう。