実家にいた頃のゴールデンウィークの恒例行事は、母と山椒の新芽を採りに行くことだった。
歩いて5分くらいの小さな裏山に山椒の木がたくさんあった。
いつも愛犬のリキと一緒にお弁当を持って、母と海が山椒を摘んでいる間、リキは一日中山の中で駆け回って遊んでいた。
誰かの持ち物の山だが、その当時は何も言われることなく毎年山椒の新芽をスーパーの袋に5つか6ついっぱいに採ったと記憶している。
摘んできた新芽を数日天日干ししてから、酒と醤油だけで炊くのが海の母の山椒の味だ。
大人になって実家を出てから、この味が大好きになった。
お酒が飲めるようになったのが大きい。
ごはんのおかずにはもちろん、日本酒のあてに最高なのだ。
「海さん、山椒の佃煮を少しだけだけど持っていく?」
アメリカのお母さんのような存在のKさんの家に、日本野菜の苗をもらいに行った時に頂いた。
Kさんの家の裏庭には綺麗に整頓された野菜畑がある。
そこに山椒の木、茗荷、フキなど日本の貴重な野菜も育てている。
山椒は小さな木が3本ほど。
その新芽の佃煮のお裾分けをいただいた。
Kさんの佃煮はみりんが入っているので、母のものよりもマイルドな佃煮だ。
アメリカのど田舎に住んでいるのに、日本の山菜が味わえるなんてなんて幸せなことだろう。
日本レストランや日本のスーパーマーケットがあった都会に住んでいた時よりも、もっと豊かな食生活を送っている。
日本に住んでいた頃は全てが当たり前で感謝など忘れていたが、日本の豊かな自然のおかげで、四季を通して旬の味覚を味わえる素晴らしさを思い出した。
自然の恵みに感謝!!
そしてアメリカで日本の季節の味をいただけることに感謝だ!!