「愛」は嫌なことを好きに変える

アメリ東海岸の田舎町の農場で働き出して丸6年。

「農業を勉強したい」と大都会から引っ越してきたのが2015年6月の末。

今やっと農業の勉強ができている。

働いている農場は6代続くアメリカ人オーナーの大農場だ。

去年までの5年間は水耕栽培のハウスの中で働いていた。

「農業と言っても、勉強したい露地栽培とは全然違うな」

と思いながらも、働く時間、曜日なども自分で決められ、長期で日本に帰るために休んでも戻って来れば仕事ができるという恵まれた環境に甘えていた。

去年から露地栽培のマネージャーが変わり、実家が農家で豊富な経験者であるヘザーが入ってきて、露地栽培がどんどん変わってきた。

「コロナで日本に帰れないから、思いっきり働こう」

と決めて、露地栽培への異動を申し出て、やっと勉強できる環境が整った。

 

異動したのは1月の末で仕事が少ない時期。

やることがないと、露地栽培用のグリーンハウスの中の草むしりが仕事だった。

「草むしりが仕事か〜」

最初はぜんぜん楽しめなかった。

土を触っているのは楽しいが、楽しい仕事とは思えなかった。

しょうがなくやっていた。

 

半年経った今は、かなり仕事を任せてもらえるようになった。

繁忙期の今は、一緒に働いていたフェルミンとマリア夫妻は他の仕事で忙しい。

葉物の野菜を中心に育てているハウスの中は草ボウボウだ。

露地栽培では鹿に食べられてしまうレタス類もハウスの中で育てている。

ハーブとレタスの管理を任されているので、冬の時とは気持ちがぜんぜん違う。

草むしりがしたくてしょうがないのだ。

「草むしりが楽しい」

こんな日がくるとは思わなかった。

自分が育てている野菜たちに愛情が湧き、少しでも環境良く育ててあげたいという思いが、好きではなかった草むしりを好きに変えた。

愛ってすごい

愛があれば苦手な人も好きになれるだろうか???