アラフィフ夫婦のクリスマスイブの過ごし方

日本では師走というように、12月になると一気に気忙しくなる。

アメリカもサンクスギビングからクリスマスにかけて、家族とのパーティーやプレゼント交換のための買い物で、どこもかしこも大賑わいだ。

子供のいないアラフィフ夫婦は、あまりイベントごとにも影響されないので、ただただ普通に1日を過ごすだけだ。

しかし、食べることが大好きな二人はこの時ばかりは少し奮発をして、いつも食べないようなものを作ったりもする。

今年は・・・

12月24日が金曜日。

海が働いている農場は、23日にはオフィスで働く人たちは半分くらい休んでいた。

水耕栽培のハウスや露地栽培で働く者も、フルタイムで働く人以外はお昼で上がった。

海はいつもどおり5時まで働く予定にしていた。

「今日も5時まで働きますか?実はもう海さんの仕事を手伝えなくなりました。明日(24日)も休むように言われました。すみません」

唯一の日本人の同僚のMさんからテキストメッセージがきた。

Mさんは水耕栽培のハウスで働いているのだが、定時の3時にハウスの仕事が終わってから海の仕事を手伝ってくれていた。

Mさんもなるべく残業をしてお金を稼ぎたいと言っているので、海のボスのヘザーに了承を得て、夏からずっと手伝ってもらっていた。

しかし、水耕栽培のレタスが根の病気にかかり、結構な損失をだしてしまった。

責任を感じた水耕栽培のマネージャーのマットは、少しでも人件費を削ることを考えたらしい。

Mさんはマットから海の手伝いもやめて、これからは定時で帰って欲しいと言われたそうだ。

一人仕事では時間がかかることを一緒にやってもらっていたので、海としてはとても残念だ。

 

「もうMさんに手伝ってもらうことができなくなっちゃった。これから全部一人でやらないと・・・」

昼休みに夫の空にテキストをした。

「じゃあ、俺がボランティアで手伝いに行ってあげようか?」

24日は誰も働かない。

ほぼ休まないメキシカンのボス・ロベルトも仕事にこないそうだ。

みんなが働かないのでオーナーのアンディから人件費を削るように言われているのかもしれないと思い、マネージャーのヘザーに聞いてみた。

「24日はレストランへのデリバリーのアーロン以外誰も働かないけど、海がやることがあるようなら別にいいよ」

2022年からのプランも二人で少しだけ話ができた。

海が任されている仕事は少し範囲が広がった。

外のハウスに植える野菜などは今まではヘザーに言われたように植えていたが、海がある程度自由に計画できるようになった。

海自身も約1年前に水耕栽培から異動して、何をどのようにハウスに植えていけば良いのかがわかってきた。

そして担当しているCSAと農場直営店に持っていく野菜を作ることも半分任せてもらえることになったのだ。

自由度がもっと増えるが、仕事の量ももっと増える。

1月3日からCSAがスタートするので、そのための準備ももう少し押し気味で進めなくてはならない。

「空、手伝って!!」

 

24日の朝、海は7時に畑に行き数種類のレタスの種まきをしながら空が来るのを待った。

9時に空が来てくれて、二人で夏に新しく建てたハウスでの作業。

最初の計画では4つのベッド(畝)を作る予定だった。

このベッドを作る作業がかなり大変だ。

まずは耕して、シャベルで長い山(畝)を作って、それからその山の表面を平らにしていく。

レタスを植えるためのベッドだ。

「これ4本作るの???」(空)

「無理そうだね。2本でやめておくか?」(海)

2本のベッドを作るのに3時間かかった。

これを一人でやると1日かがりだ。

 

 

クリスマスイブのディナーは贅沢にサーモンをたっぷりと入れた石狩鍋

お気に入りのビールと鍋。

大根をくれた同僚のローラに写真付きでメッセージを送った。

彼女からもらった大根で料理を作った時は、かならず写真を送る。

異文化交流だ。

こころも体もほっこり暖かくて、とても幸せなクリスマスイブの夜だった。