小さな野菜畑を作って、その脇で小さな小さなお店をやりたいと夢を見て大都会から田舎街に引越しをしてきたのは5年半前。
農業を勉強するためにこの地に来たのだが、最初から大きな落とし穴に落ちてしまい、夫の空と共に無職になってしまった。
それから・・・いろいろなことがあった。
そしてやっと最初の一歩が踏み出せた感じだ。
5年半もかかった。
今働いている大きな農場は規模が大きすぎて、すべて分担作業。
今までは、水耕栽培のハウスの中で流れ作業の一員として働いていた。
この農場で働きながら出来ることを模索しながら、ここまできた。
去年から畑の一員になったヘザーは、実家が農家で本人も13年間の農業経験がある。
実家以外で、NYやコロラドの農場で働いていたらしい。
そして農業をするまえはフィジカルトレーナーとして働いていた。
今はヨガのインストラクターもやっている。
彼女は海よりも10歳ほど若いが、とっても落ち着いていて年上のような雰囲気だ。
そして感覚がとても似ている。
若い時は一時、フィジカルトレーナーになりたいと思っていた海。
体を動かすこと、自然が大好き、そしてやりたいと思っていることがとても似ている。
ヘザー曰く、去年は1年間の流れを把握するためにもくもくと働いていたらしい。
去年の繁忙期が過ぎてから、自分のアイディアをどんどんオーナーに伝えてそれを形にしていっている。
彼女のやりたかったことが、この農場ですべて叶えられると張り切っている。
畑の敷地内に、小さなお店を作った。
英語でプロデューススタンドという。
自分たちで作った野菜を売ったり、他の農場でできたプロダクトを売るお店だ。
このアイディアも海がやりたいと思っていたのと限りなく近い。
とても可愛い手作りのお店だ。
来週から水曜日の午後、このお店に立たせてもらえることになった。
お店の駐車場の隣の敷地に、ヘザーが管理する畑を作る予定だ。
この畑では主に、レストランやファーマーズマーケットやプロデューススタンドで売る野菜を作る。
その畑を海にも自由に使って良いと言ってくれた。
これからどんな野菜を作りたいかプランを立てて、ヘザーに計画表を出すつもりだ。
日本の野菜も作らせてもらおう!!
ヘザーと話をしていると、お互いにアイディアがどんどん湧いてきてワクワクする。
本来ならば日本にいる母の介護をするために、日本とアメリカを行ったり来たりの生活をするつもりだった。
やりたいことはしばらくはお預けだと思っていた。
しかし新型コロナの影響で日本に自由に帰ることができなくなった今、このチャンスを大いに活かそう。
「信頼ができる相棒が必要なんだよね。海、一緒に働いてくれる?」
「もちろん!!」
こんな会話が交わされたのは2日前のことだ。
今まで畑では英語を話すより、スペイン語を話すことの方が多かった。
だからスペイン語はかなり上達したが、英語はどんどん下手になっている。
これからはヘザーとの会話がメインになるので、少しは英語も上達するか?
もう一人、去年の暮れに入ったばっかりの21歳の女の子サラとも一緒に働く。
彼女はハワイのフルーツ農園で働いたり、レストランでシェフをしていたり、とても話が合う。
ただお金を稼ぐためだけに来る学生のアルバイトの子とは違う。
農作業が好きで来たので、動きとやる気が違う。
今年の夏は去年よりももっと忙しく、そして楽しくなりそうだ!!
肉体的にはかなりハードな仕事だけど、ジムに行く必要がないくらい鍛えられそうだ。
ワクワクが止まらない!!