「1日24時間、そして一つの体だけじゃ、やりたいことが全て出来ないよ〜!!」
こんな幸せな状況になっている。
やりたいと思っていたことのチャンスが目の前にどんどん押し寄せてくる。
「今、ベーカリーシェフのアシスタントを探しているんだけど、なかなかいい人が見つからないんだよね」
「やりたい!!ベーガリーも勉強したいよ」
海が働いている農場は、これから本格的にファームストアをオープンさせる。
大きな国道沿いに、農場で取れた野菜を売るお店をオープンさせる予定で、そこにカフェ&ベーカリーを併設させるらしい。
NY出身でイタリア系ベーカリーのシェフの下で働く人を探しているという。
初めてパンを焼くことに興味を持ったのは、高校生の時だ。
夏休みにアルバイトがしたくて、大好きなパン屋さんに飛び込みで聞いてみた。
「ここのパンが大好きでアルバイトをさせて欲しいのですが、夏休みに雇っていただけませんか?」
「ごめんね。うちのお客さんのほとんどは学生さんだから、夏休みは暇で人を雇う余裕はないんだよ」
そして母にオーブンレンジを買ってもらって、パンを初めて焼いてみた。
とは言っても、食パンを焼く機能が付いているもので、レンジに付いている付属品に材料を全ていれタイマーをかけておくだけで食パンができちゃうというものだった。
4年前には料理教室でパンの先生をやっていた友人から、手ごねのパンの焼き方を教わった。
ずっとやってみたいと思っていたベーカリーの仕事が目の前にある。
「農場の仕事とベーカリーの仕事、どっちを選んでも良いよ」
「え〜〜〜、選べないよ。どっちもやりたいよ」
マネージャーのヘザーはチャンスをくれた。
「探しているのはフルタイムのアシスタントだけど、パートタイムでも良いか聞いてみるよ」
ファームストアのマネージャーに抜擢されたのは、水耕栽培のハウスのマネージャーをしているマットの妹のメリッサ。
メリッサは、違う職場でヘザーのアシスタントとして働いていたこともあるようで、4月になって新しく農場の従業員となった。
「メリッサはとても喜んでいるよ。ちゃんと海とスケジュールのことなど話がしたいって。でも私は海を手放したくないよ」
ヘザーからこんな嬉しいことを言ってもらえた。
「私もヘザーからもっと教わりたいことはいっぱいあるし、ずっと一緒に働いていたいから、ベーカリーの方は、週に1日か2日くらい働ければいいと思っているよ。欲張りかな?」
「そんなことはないよ。うまくスケジュールを組んで、海がやりたいようにやればいいよ」
「もう一人私が欲しいよ!!」
「分かる、海の気持ちわかるよ。私も同じだったもん。ストアをやるって決まった時に、アンディ(農場のオーナー)から、農場のマネージャーとストアとどっちがやりたい?って聞かれたよ。もう一人私がいれば両方やりたいけど、やっぱり私はファーマーだから農場を選んだよ」
ヘザーは農場で生まれ育った。
若い時はフィジカルトレーナーとして働いていたが、30を過ぎてから実家に戻り、お父さんの手伝いをしていた。
数年前にお父さんがリタイアし、実家の農場をたたんだ。
でもやっぱり農場の仕事が大好きなヘザーだ。
どうなることか???
農業をやりながら、ベーカリー。
もっとパワーアップしないと・・・
睡眠時間が3、4時間ほどで良い、超人的な体になりたい!!