土は心を癒してくれる

農業が勉強したくて大都会から農業が盛んな田舎町に引越しをしてきたのは、もう6年前になる。

小さな畑で野菜を作り、自分で作った野菜を使ってお料理をして小さな小さなお店を出したいと思ったからだった。

東京で飲食店を経営していたので、少しは経営の知識はあるが、農作業はまったく経験がない。

小学生のころ母が畑を借りて野菜を作っていたが、草むしりをさせられるのが嫌で、畑には近寄らなかった。

ここに引っ越してきて、生きていけるか分からないほどのどん底状態を味わって、今はやっと安定した暮らしができるようになっている。

そのどん底の状態から助け出してくれたのが、今働いている農場だ。

5年前は夫の空も働かしてもらっていた。

海が働かせてもらっているのは水耕栽培のハウスの中。

働かせてもらっているだけで幸せなので、一生懸命働いている。

でもできれば外の露地栽培の仕事もしたい。

 

2年前までは、ちょこちょこと外の仕事を手伝ったりしていたが、最近はハウスの中ばかりだ。

先日、外のマネージメントをしているヘザーがハウスの仕事を手伝いにきた。

「出来れば外の仕事も手伝いたい。実は農業の勉強がしたくてここに引っ越しをしてきたんだよ。もっといろいろ教わりたいんだ。」

「ハウスの仕事が終わったら連絡ちょうだい。みんながステッカー貼りを始めたら外に来たらいいよ」

今の時期はあまり忙しくないので、夏の繁忙期に向けて野菜を入れるプラスチックのコンテナに畑のロゴの入ったステッカーを貼る仕事をしている。

一昨年までは障害者施設に依頼してやってもらっていたが、去年からコロナの影響で自分たちでやっている。

みんな動画を見ながら、海は本を読みながらのんびりとやっている。

あまりにも早くやりすぎると仕事がなくなっちゃうので、ゆっくりと時間つぶしのようにやる仕事だ。

自分で経営をしていた経験があるから、時間つぶしのような仕事をしているのに罪悪感を覚えてしまう。

自分がオーナーだったら、ちゃんと働いて欲しいと思ってしまうからかもしれない。

 

ハウスのマネージメントをしているマットに許可をもらって、暇になったら外の仕事を手伝えることになった。

今は寒いので、ハウス(外の畑の)の中での作業。

草むしりをしたり、種まきをしたり、土を触っているのがとっても気持ちが良い。

時間の流れも速い。

水耕栽培のハウスの中で働いている時より、時間の経過が倍以上早く感じる。

土をいじりながら、未来の自分の畑をイメージしたり、どんな野菜を作ろうか考えたり、どんなお料理をしようか考えたり・・・

土をいじっていると、なんでこんなに心が癒されるのだろう???