嫌な仕事は楽しくやろう!!

海が働いているのはアメリカ人オーナーの6代続く大きな農場。

担当の場所は水耕栽培のグリーンハウス。

水耕栽培のハウスの中では日本ではサラダ菜と呼ばれているビブレタスをメインに、ケール、ルッコラロメインレタス、レッドオーク・リーフレタスなども栽培している。

細長い12ないし15の穴が空いているトレーに、スポンジの中で育てた苗を入れて育てていく。

種まきから収穫まで3ヶ月ほどだ。

仕事は流れ作業で、トレーを運ぶ人、トレーからレタスを取り出し、根っこや黄色くなった葉を取り除き綺麗にする人、レタスをコンテナにパックする人、トレーを洗う人に分かれている。

トレーを運ぶのはなかなか大変で、男の人が担当してくれる。

男の人がいないときは、ベテランのメキシコ人のオラリアが率先してやってくれる。

2本の長いトレーを運ぶのはバランスと力が必要で、慣れない人には難しい。

海は12の穴の短いトレーなら2本運べるが、15の穴の長いトレーだとちょっと難しい。

この流れ作業で一番人気がないのはトレーを洗うことだ。

腰をかがめての作業、そして濡れる。

アメリカ人の若い子たちは、自分から率先してやってくれることは皆無だ。

洗い場をメインでやるのは、日本人の海とMさん。2人1組でやる。

1週間に1度はメキシカンのベテラン組、メルセデスとオラリアもやってくれる。

アメリカンの若い子たちはなかなか動いてくれないので、週に1回は順番でやってもらうように海が指示を出す。

一番洗い場をやっている海の指示なので、内心はどう思っているかわからないが、とりあえずやってくれる。

 

先日、露地栽培の担当のヘザーがグリーンハウスの手伝いに来てくれた。

ヘザーは海が通っているヨガスタジオのインストラクターもやっている。

この日は海が一人で洗い場をしていた。

するとヘザーが洗い場を手伝ってくれた。

トレーを洗うのもコツがあるので、慣れないと最初はなかなかスピーディーに洗えない。

ヘザーにコツを教えながら、だんだん良いコンビネーションで洗えるようになってきた。

「私は体を動かすのが好き、こうやってスピーディーに仕事するのは楽しいね」

勢い余って、落としたタオルを片足を上げて拾っているヘザーに

「ヘザー、もっと足を高く上げて!!」

「ヨガのポーズだね。私もいつもヨガのポーズを意識しながら動くようにしているんだよ」

二人でワイワイ笑いながら洗っていた。

「あ〜楽しい、でもあともう少し、9時には外の仕事に戻らなくちゃ。残念」

7時から9時まで一緒に洗ってくれた。

ヘザーが外へ行ってから、一人で洗い場をしてたら、指示をしなければ絶対に洗い場に入らないサラが入ってきてくれた。

「ありがとう!!」

一人でやるのと、二人でやるのとでは、疲れ方が全然違う。

ヘザーがとても楽しそうに洗ってくれていたので、思わずつられちゃったのだろう。

 

人間はどうしても楽な事を選ぶようにできているらしい。

それは大昔、食べ物の確保が難しい狩猟生活をしていた時に、なるべく余分な体力を使わないようにという経験が人間の脳にインプットされているからだという記事を読んだことがある。

楽な仕事=体をあまり動かさない仕事

体を動かすことが大好きなヘザーと海は、相乗効果でとても楽しんで仕事ができる。

そんな二人を見ていて、嫌だと思っていた仕事も楽しそうに映ったのだろう。

みんなが嫌がる仕事ほど楽しんんで、思わず「やりたい」と思わせれば人が動くということを学んだ日だった。

人間、楽しいことが好きなのだ!!