アメリカの卵の黄身は薄いと前々から思っていた。
レモン色の黄身。
そして味も薄い。
日本の方が卵は美味しいなとおもっているが、日本の悪徳業者は、鶏のえさに食紅を入れて黄身をオレンジ色にしているところもあるという。
それを栄養価が高い卵とだまされている消費者。
もしかしたら、海もだまされていた一人かもしれない。
日本の食の安全は、どんどん怪しくなっている。
あまりにも安いものが多い。
安い卵のほとんどは抗生物質を打たれ、ぎゅうぎゅう詰めにされたところで生活している鶏の卵だ。
安全な食を求めるためには、生産者の顔が見えることが一番だ。
アメリカは日本よりも安全表示がしっかりとしている。
それでも海はできる限りファーマーズマーケットで農家の人から直接、野菜や卵を買うようにしている。
メキシコ人の同僚の濃い卵
海はスペイン語が少し話せるので、メキシコ人の同僚と農場で仲良く働いている。
彼らは仲間意識が強いので、スペイン語が話せると対応が全然違う。
「この売れないレタスはメルセデスの家の鶏のために持って帰ろう」
メルセデスの義理の妹のオラリアが言った。
「え?メルセデスは鶏を飼っているの?」
聞いたら25羽も飼っているという。
メルセデスに聞いてみた。
「毎日卵をどれくらい産むの?」
「10〜15個くらいかな?」
「卵を売ってくれる?」
「お金なんかいらないよ」
次の日18個入りのコンテナに大きさが不揃いの卵を持ってきてくれた。
今までアメリカで食べた卵の中で一番美味しい。
しかも黄身の色が濃い。
ゆで卵を作って、ブロッコリーと一緒にサラダにした。
黄身の味が濃厚だ。
卵好きな海でも、たくさんは食べられないくらい濃ゆい。
もしかしたら、日本で食べる卵よりも美味しいかもしれない。
次の週、12個入りの殻のケースに$3(約300円)入れてお願いをした。
「お金はいらないよ」
「このお金はメルセデスにじゃなくて、鶏にだよ」
「コミダ デ ポヨ?(鶏の餌)」
「そうだよ、鶏の餌代」
ファーマーズマーケットでは、12個入りを$4で買っている。
勝手に$1まけてもらう値段を払うことにした。
アメリカの卵の値段はまちまちだ。
オーガニックの卵でも、$6するものと半額の$3で売っているものもある。
12個入り$3は悪い値段ではないと思う。
海の夢の生活
将来的に自給自足力を高めていきたいと思っている。
自分の家の庭で野菜を作り、鶏を飼うのが夢だ。
今はアパートに住んでいるが農場で働き、たまには収穫も手伝い朝どり野菜もいただいて帰る。
卵は同僚から新鮮で美味しい卵が買えるようになった。
どんどん夢に近づいている気がしている。
理想の生活をしているアメリカ人の友人がいる。
元中学、高校の地理の先生をしていたジョンだ。
55歳で早期定年退職をして、魚屋でアルバイトをしながら、ヤギ、鶏を飼い、野菜と椎茸も作っている面白いアメリカ人だ。
彼は海の近くに住んでいて、魚釣り、ハマグリ採りをしたりもする。
ビール好きが高じて、ビールも作っていたが、痛風になって最近は作っていない。
「ジョンみたいな生活がしたい!!」
最近はコロナの影響を考えて、遊びに行くことを控えている。
理想の生活をしている人とはもっと頻繁にあって、話をたくさん聞いたり、彼のエネルギーを貰えば、どんどん現実になっていく気がする。
味の濃い美味しい卵の存在だけで、とても幸せな食卓になる。
自分で作った野菜、自分の家で採れた卵を食べられるようになったら、どれくらいの幸せを感じるのだろう?
今から楽しみで仕方がない。