海はおてんばで怪我が絶えない子供時代を過ごしている。
大人になった後も・・・あまり変わらない。
大人になってからの方が、大きな怪我が多い。
数年に1度は大きな怪我をする。
アメリカに来てからの一番大きな怪我は、右手の親指の腱を切ったことだ。
2回も手術をして、約100万円ほど医療費を払っている。
アメリカの医療システムは最悪だ。
保険を使って、3割負担でこの料金だった。
寒くなると右手が痛むが、それでもきちんと動いてくれるので手術をしてくれた先生には感謝をしている。
手というのは手術が難しく、後遺症が残る人が多いようだ。
そしてまた久しぶりに怪我をしてしまった。
応急処置の大切さ
毎週日曜日の朝、海は洗濯に行っている。
日本とは違い家に洗濯機はない生活なので、1週間に1度コインランドリー通いだ。
夫婦だけとはいえ、1週間分の洗濯物はかなり多い。
一度では運びきれず、2度に分けて洗った洗濯物を家に運び込む。
2度目の洗濯物を車に取りに行こうとした時、アパートの入り口の段差で左足を捻ってしまった。
「ボキ」っという音が聞こえた。
しばらくうずくまり歩けなかったが、少ししたら大したことはなかったので、その後近所に買い物に行った。
帰ってきて足を見ると少し腫れていた。
怪我慣れをしている海はすぐにアイシングをした。
捻挫や打撲をした時は、すぐに冷やすのが一番だ。
次の日の朝、腫れがひどくなっている。
痛みも大きくなっている。
折れてはいない感覚はあったが、一応医者に行くことにした。
若い頃ならこの程度の怪我で医者に行くことはなかったのだが、48歳になって根性で治すのは無理だと思ったのだ。
「もしかして折れているかも・・・」
起きてから時間が経つにつれ、痛みがひどくなってきた。
コロナ渦で医者に行くのは嫌だったがしょうがない。
レントゲンを撮ってもらって、骨には異常がないことがわかって安心した。
それでも軽い取り外しの出来るタイプのギブスをはめられた。
しかも人生初の松葉杖だ。
この大袈裟な応急処置がとても良かったと後から思うことになるとは・・・
アメリカの医療システムは難しくて海はまだ分かっていない。
どうやって病院を見つけるのか?保険を使える医者をどうやって探すのか?分からない。
アメリカでは病院と医者に別々にお金を払う。
病院は保険を使えるが、医者には保険が使えないという場合もある。
とりあえず海に何か起こった時にまず最初に行くのは、町の診療所みたいなところだ。
そこで専門の医者を紹介してもらう。
アメリカは手は手の専門医、足は足の専門医という風に整形外科でも分かれている。
1週間後に専門医のところに行くように言われ、それまでギブスを外してはいけないと言われた。
海は昔から医者の言うことは聞かないので、シャワーを浴びるときにはギブスを外し、松葉杖を使ったのは2日間だけだ。
農場で畑の仕事をしている海だが、医者に行った月曜日だけ仕事を休み、火曜日からは仕事に行った。
それでもギブスの効果は凄い。
1週間でほとんど痛みはなくなった。
予約を入れておいた専門医もキャンセルをした。
骨折ならもう一度レントゲンを撮ってもらう必要があるが、捻挫なら医者に行っても何も変わらない。
ギブスを外すタイミングだけの問題だ。
自分でも驚いた治癒力の高さ
1週間で痛みはほとんどなくなっていたが、腫れはまだ引いていない。
もちろん足を捻るとまだ痛みを感じるが、少しびっこをひく程度で普通に歩ける。
ギブスを外し、持っていたサポーターをして仕事に行った。
問題なく普通に仕事が出来た。
帰ってきてからも痛みは出ない。
怪我をして10日目くらいで、びっこもひかず普通に歩けるようになった。
自分でも驚くほど治りが早い。
3週間目で腫れもほぼ引き、足を捻る動作もできるようになり、毎晩の日課のストレッチ&ヨガも普通にできるようになっていた。
それでももう少し我慢して、ヨガのクラスは行くのをやめた。
クラスにいくとどうしても無理をして頑張ってしまうので、治りかけの足に負担をかけてしまいかねない。
「海はとても健康だから治りが早いんだよ。ヨガをしているおかげもあるかもね。ヨーギーは治癒力が高いんだよ。」
ヨガのインストラクターをしている畑の同僚に言われた言葉だ。
海はいままでに数え切れないほど捻挫をしているが、こんなに早く治ったことはない。
ヨガをやっているおかげで関節が柔らかくなっていて、捻挫が軽く済んだのか?
応急処置が良かったので、治りが早いのか?
歳のおかげで根性で治さずきちんと医者に行き、無理をしなかったおかげなのか?
きっとすべてだろう。
歳をとると怪我が治りにくいというが、そんなことはない。
若い時にみたいに無理をせず、自分の体を大切にしているから治りが早いのかもしれない。
それにしても怪我をするたびに思う。
「何よりも健康が一番だ!!」