イタリア シチリア島の旅の思い出

塩野七生の本を読んでいたら、無性にイタリアに行きたくなった。

旅ができないコロナ禍、また旅ができるようになるのだろうか?

海は東京で飲食店を経営していた10年間のことを「プチセレブ時代」と呼んでいる。

お金を持っていたわけではないが、毎年1年のうち2ヵ月間お店を休んでヨーロッパに旅に行っていた。

10ヶ月間朝から晩まで働いて、2ヶ月分の家とお店の家賃、そして旅行費を捻出して思いっきり楽しんでいた。

シチリア島 タオルミーナ

タオルミーナは映画「グラン・ブルー」のロケ地。

どうしてもこの地に来たかった。

2002年、日韓サッカーW杯が開催された直後にグラン・ブルーの撮影隊が宿泊していたというホテルに辿り着いた。

このころの海はサッカーに熱中していた。

初戦のベルギー戦を日本で見た次の日に日本を発ち、2試合目のロシア戦はタオルミーナのホテルで観戦した。

部屋で大声を出しすぎて、フロントから連絡が来た。

「大声が聞こえるけど、何かありましたか?」

「ごめんなさい。今、TVでサッカーの日本戦を見ていて・・・」

ロシア戦に勝ったので気分が良く、食事をしようと外に出ようとしたら、フロントの人からお誘いがあった。

「今夜みんなでイタリア戦を観るから、一緒にどう?」

ホテルの従業員と一緒にイタリアを応援した。

この時の旅は、サッカーを通じてたくさんの国の人たちと出会い、楽しい思い出がたくさん出来た。

忘れられない味

タオルミーナパレルモ

シチリア島で滞在した街はこの2ヶ所。

どこで何を食べても美味しかった。

忘れられない、もう一度食べたいのがパレルモで食べたアサリのリゾット。

前菜を食べて、スープを飲んでパスタを食べて、最後にリゾット。

ちょっと頼みすぎてしまった。

リゾットに行く前に、もう食べられない〜というくらい満腹だった。

真っ白なリゾットの上にアサリが乗っているだけのシンプルな見た目。

せっかくだから、一口だけ味見をしようと口の中に入れたら・・・

濃厚なチーズとあさりの出汁の美味しさ、そのあとにふわ〜っと鼻を抜けるレモンの爽やかな香り。

「美味しい!!」

満腹なのに、スプーンが止まらない。

結局、全部平らげてしまった。

お腹がいっぱいなのにこんなに美味しいと思うなんて、空腹時に食べたらどれくらい美味しかったんだろう???

場所もレストランの名前も覚えていない、幻のあさりのリゾット。

パレルモで出会った優しい人たち

タオルミーナからパレルモまで電車で移動した。

2ヶ月間の旅は行き当たりバッタリだ。

基本的に毎年、行きと帰りの飛行機と、着いた日のホテル1泊分しか予約はしない。

現地に着いてから、予定を立てる。

パレルモに着いたのはいいが、どこに行けばいいのかわからない。

バス乗り場を探してロータリーに出た。

するとちょうど若いお兄さんが友達を送りに来て、車をロータリーに止めていた。

「町の中心まで行きたいのですが、どうやっていけば良いですか?」

「バスはなかなか来ないから、乗せて行ってあげるよ」

「では、ホテルがありそうな場所まで連れて行ってもらえますか?」

見た目はやんちゃそうなお兄さんだったが、とても優しい人だった。

お金を払おうと思ったら

「お金なんかいらないよ」

20ユーロを無理やり渡し、

「本当に助かりました。少しだけど、タバコ代にしてください」

 

旅の終わり、パレルモを満喫してバスで駅に向かおうとバス停に向かった。

前の日にバス停の場所と時間を確認していた。

時間が過ぎてもバスは来ない。

「今日はストライキが起きてバスは来ないらしいですよ」

荷物を持ったおばあさんが教えてくれた。

「どこまで行くのですか?」

おばあさんに聞いてみた。

「駅まで行くつもりだったんだけど、どうしようかしら」

「私たちも駅に行くつもりだったんです。道がわからないのでご一緒しても良いですか?」

おばあさんと一緒に歩き出した。

海の荷物が重たそうに見えたのか、大丈夫だと言っても、おばあさんは半分持つと言って譲らない。

すると1台のタクシーがきた。

タクシーを止め、おばあさんも誘って乗ろうとしたら、

「私は歩いて行くからいいわ」

たぶん、タクシーを乗る余分なお金がなかったのだとすぐに思った。

「荷物を持ってくれたお礼をさせてください。お金の心配はしないで」

駅に着いたら、おばあさんはイタリア語が話せない海たちの代わりにチケット売り場の人に行き先を説明してくれ、チケットを買う手伝いをしてくれた。

 

旅の醍醐味は人との出会い。

現地の人との交流が旅を思い出深いものにしてくれる。

行き当たりばったりの旅では、まずは地元の人がたくさん居そうなバーやカフェを探す。

そこでホテルの情報や美味しいレストランの情報などを仕入れる。

地元のことは、地元の人に聞くのが一番だ。

ホテルもレストランもほとんど失敗したことはない。

あ〜〜〜旅がしたい!!