働かせてもらっている農場でローカルファームの牛乳を売り出した。
ファームストアをオープンして1ヶ月。
今は農場の敷地内で水曜日と金曜日だけオープンしているストアだが、5月から大きな国道沿いで7daysオープン予定だ。
このストアでは農場で採れた野菜はもちろん、ローカル農場のミルク、チーズ、バターやりんご、蜂蜜、卵、トフィーというお菓子や花も売っている。
商売までにならなくても、ちょっとおこずかい稼ぎができる程度のものを近所の人たちが持ってくることもある。
卵や花などは、そういう商品だ。
「お腹を壊さない牛乳」
マネージャーのヘザーは腸がとても繊細らしく、乳製品はもちろん、牛肉や豚肉を食べてもお腹を壊してしまう体質らしい。
でもこのローカル農場の牛乳だけは大丈夫だと言っていたので、牛乳が飲めない夫の空に試してみた。
すると、やっぱり大丈夫だった。
飲んだ後少しゴロゴロお腹がなったが、痛くなることも下痢になることもなかった。
今までは全く買わなかった牛乳だが、最近はたまに購入している。
ここの牛乳は蓋をあけると蓋にいっぱい脂肪が付いている。
牛乳自体はスーパーのものよりもスッキリしているが、脂肪分は高いようだ。
蓋についている白い塊を舐めてみると、生クリームとバターの間のような味。
とても美味しい脂肪だった。
「飲む前に良く振ってね」
ミルク農場のボブに言われた。
買って1週間ほどすると、脂肪が固まって分離してしまう。
スーパーの牛乳では、分離したものは傷んでいる。匂いも臭い。
でもこの牛乳はそれとは全く違うのだ。
分からないことがある時は、まずはグーグル先生に聞いてみる。
「牛乳と生乳の違い」
こんな記事があった。
今まで気にしたことがなかった。
牛乳は生乳を殺菌処理したもの。
生乳は牛から搾られたままの状態の乳のこと。
生乳は大腸菌や異物が含まれていることがあるので、一般的には売られることが少ないようだ。
調べてみると日本で唯一生乳を売っているのは北海道の思いやりファームというところだった。
思いやり生乳と商品名で売っている。
この商品の説明を読んでみると、まさにローカル農場のミルクと同じことが書いてあった。
そしてヘザーや空のお腹が痛くならない理由も書いてあった。
牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロする。これを医学的には「乳糖不耐症」と言って、乳糖分解酵素(ラクターゼ)の活性が低下している為に、小腸で分解吸収されなかった乳糖が、大腸で発酵しガスが発生するのです。
これが大腸を刺激して「ゴロゴロ」させるのです。また、乳糖が大腸での水分の吸収を妨げ、下痢が起こります。
しかし、「想いやり生乳」は胃の中で自然な形の蛋白が乳糖を取り囲んで「コロイド」をたくさん作ります。その為、ラクターゼが無理なく働き、乳糖をゆっくり消化し、大腸に流れる乳糖が少なくなります。その結果「ゴロゴロ」や「下痢」がなくなります。
知らないで飲んでいたが、海が飲んでいたのは牛乳じゃなくて、生乳。
殺菌処理をしない飲める生乳をつくるには、牛にストレスを与えないように健康的に育てるのが大切らしい。
人間を含む動物は、ストレスで病気になってしまうのだ。
「うちの旦那さんは今までミルクは飲めなかったんだけど、ボブのミルクだけは飲めたよ。ぜんぜんお腹を壊さなかったよ」
「嬉しい報告ありがとう。このミルクを作るのはとても大変なんだ。いろいろと研究して美味しいミルクを作る努力をしているよ。でもお客さんからそういう話を聞けるとまた頑張れるよ!!」
イカツイ顔のボブとはファーマーズマーケットで会っても今まで話したことはなかったが、思い切って話しかけてみた。
知らないうちに貴重なものを摂っていた。
アメリカ田舎生活、最高だ!!