便利な世の中になった。
世界中どこにいても、やりたいことが教われる。
初めてZoomを使ってのプライベート・オンラインレッスン。
夫の空はパン作りにハマっている。
アラフィフ夫婦は、これからフードトラックビジネスを始めようかと考え始めた。
メニューはパニーニ。
アメリカの田舎町では美味しいパンが見つからないのと、小麦を食べると海の体が痒くなるので、体に優しいスペルト小麦で自分たちでパンを焼こうと思い立った。
フードトラックビジネスは、3年前に海が一人で始めようと思っていた。
会社を立ちあげ、トラックを作ってくれる人も見つけ、メニューを練っていた時に日本にいる母が交通事故を起こして、アメリカと日本を行ったり来たりする生活が始まった。
それでフードトラックを諦めてしまった。
そして今度は、夫婦二人でフードトラックをやろうとメニューを考え、パニーニの案が浮かんだ。
パンなんてまったく焼いたことがないのに、スペルト小麦という古代小麦を使っての挑戦だ。
グルテンの成分や量が普通の小麦とは違うらしく、なかなか美味しいパンが焼けなかった。
2週間毎日のように焼いていたが、まったく膨らまずまるで小麦煎餅のようなものになってしまう。
スペルト小麦は日本よりもヨーロッパのハード系のレシピが多いので、しっとりふんわりしたパンを焼くのは無理なのかもしれない。
でもどうしてもスペルト小麦で美味しいパンが焼きたいと調べ出したら、オンラインで教えているパンの先生を見つけた。
海外に住んでいる人にも教えているようなので、まずはメールを送ってみた。
自分たちの作りたいパンを伝え、プライベートでレッスンをやってもらえるか聞いてみた。
「ご希望に合うようなプライベートレッスンをさせてもらいます」
という返事が来た。
スペルト小麦を使いたいこと、コッペパンの形状でパニーニを作りたいことなどを伝えた。
パニーニにあうパンのレシピを当日までに作ってくれると力強い返事がきた。
3時間半で¥11,000。
初めてのことなので、安いのか?高いのか?もわからない。
空は朝からソワソワしていた。
時差があるので、アメリカ時間の夜7時、日本の午前9時のスタートだ。
この先生は手捏ねではなく機械で捏ねるやり方だ。
この日のために、パンが捏ねられるフードプロセッサーも購入した。
レシピと作り方のPDFが送られてきて、レッスンが始まる前に材料はすべて計量して準備をしておくように言われた。
準備の書き方が少し曖昧だったので、一番肝心なイースト菌の準備を早くし過ぎてしまい、レッスンが始まってからすぐにドタバタになってしまった。
近くで見守っていた海のほうが焦ってしまったが、レッスンの前日に予習をしていた空は、そんなに慌てることなくすぐに対応していた。
やはり教わることはとても大切だと実感した。
正解をしらないままに突き進んでも、答えを見つけ出すのは時間がかかる。
パン作りは化学だ。
気温、湿度、時間、分量が変わるとすべてが変わってしまう。
パンにとって水分量がとても大切だ。
焼く時間が少しでも長すぎると、水分が飛んでパサパサなパンになってしまう。
灰分量なんて言葉も初めて聞いた。
空は分からなかったことが全て明確になり、ますますパン作りが楽しくなったようだ。
レッスンの次の日に早速復習。
そしてさらに次の日にはちょっとレシピをアレンジし、オリーブオイルからバターに変えて焼いた。
パニーニならばオリーブオイルの方が合うが、そのまま食べるのにはバターの方が美味しい。
州の法律をチェックして見てみたら、家で作ったものでも売れることがわかった。
フードトラックを購入するには、最低でも約500万円くらいはかかる。
まずは家で作ったものをファーマーズマーケットで売ることを考えている。
最初から大きなことを始めないで、「今」できることからスタートさせよう。
体に優しく美味しいパンを作る
古代小麦は品種改良されていない小麦だ。
一度食べたら体が喜ぶような魂に響くパンを作って、少しずつ古代小麦のパンをローカルの人たちに広めてファンを広げていこう!!と意気込んでいる。
海の体重はどんどん増えている・・・