アラフィフ夫婦 最終的な夢への実現が始まった!!

2021年の夏までは、いつかはハワイに移住するつもりでいた。

ハワイでの生活、そしてハワイでのビジネスを考えながら毎日を過ごしていた。

9月になり、夫・空の目の調子が悪くなり10月に仕事を辞めてから考えが変わり始めた。

「今のここでの暮らしは、とても幸せなのではないか?」

都会に暮らしていた時は働いても働いてもお金が足りず、いつも何かに追われているようなプレッシャーがあった。

今の収入はとても少ないが生活費は都会の半分ほど、しかも食生活は前よりも豊かになっている。

空と毎日のようにこれからの生き方について話し合いをしていた。

そしてようやく未来図が固まったところに、運命的な出来事が起こった。

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「ローラ、ちょっと話があるんだけど良いかな?」

未来図が自分の中で固まったときに、ローラの顔が一緒に浮かんだ。

農場の同僚のローラの実家は元トマト農家で、お父さんが亡くなってからはもうやっていないらしい。

叔父さんが近所で農業をやっているという話だ。

2021年の9月から農場にやってきたローラとはあまり話すチャンスはないのだが、数回の会話で実家のことやローラがこれからやろうとしているビジネスのことを少しだけ聞いていた。

アラフィフ夫婦の未来図を実現させていくには、今海が働いている農場である程度の収入を確保しながら、ローラの土地を少しだけ貸してもらって野菜や大豆を作っていければ良いなと頭をよぎった。

空は古代小麦で焼いたパンを売って、生活費を稼ぐことを考えている。

空のパンの販売が軌道に乗り始めたら、お金を稼ぐための海の農場の仕事を少しずつ減らして、自分たちが食べるための野菜や大豆作りをしていきたいと思っている。

 

ローラに土地を少し貸してもらえないかと聞くために、ランチタイムにローラのところへ行った。

彼女はいつも車の中でランチをとっている。

30分しかないランチタイムに邪魔をするのは申し訳ないと思ったが、なかなか二人になれるチャンスはない。

ローラは突然の海からの相談でびっくりしたようにみえたが、後で聞いたら実はそうではなかった。

その時の返事は「家族にも相談しないとだから、少し考えさせて!!」だった。

そりゃそうだ。いきなり大豆や野菜を作りたいから土地を貸してと言われても、すぐに返事をできることではない。

その週末にローラからテキストメッセージが来た。

彼女から連絡がくるのは初めてのことだった。

「聞きたいことがあったんだけど。今週末うちの畑を見に来る?天気はあまり良くないけど・・・」

1日中氷点下のとても寒い土曜日、空と一緒にローラの家に行くことになった。

海の家から40分南下した、さらに何もない田舎町だ。

 

時間通りにローラの家に着くと、彼女はジャーマンシェパードの愛犬グレッチェンを外で遊ばせていた。

シェパードは飼い主にはとても従順だが、知らない人には警戒心がとても強いらしい。

ほとんどの犬とは仲良くなれる自信はあるが、シェパードは今まで触れたことがないのでローラの言うことをきちんと聞いて、最初から仲良くなろうとすることはやめた。

レッチェンは最初の5分くらいは私たちに向かって吠えていたが、匂いを嗅いでボディチェックを完了してからやっと受け入れてくれた。

 

ローラの実家は夢のような場所だった。

思っていた以上に広大な敷地で、家の周りにはお母さんや叔父さんが所有している農地がいくつもあった。

畑の周りには雑木林があったり、池があったり、とてものどかな場所だ。

「もし時間があるようなら、一緒に軽いランチをしながら話をしない?」

「うん、良いね!!」

3人とも顔や手が凍りついてきた。

「今日はビジネスランチだから、私の奢りね」とローラ。

ビジネスランチ????

 

ローラの家から一番近いダイナーについた途端、息をするのも忘れるほどの勢いで彼女は自分のビジネスプランを話し始めた。

この日のローラはまるで初めて会った人のようだった。

農場で働いている時は感情を全て隠してただ淡々と仕事をしているので、まさか農業に対してのパッションがこんなに大きいとは想像をしていなかった。

そして彼女のビジネスプランがまさに、海が理想とする形でまたさらにびっくりした。

「パーマカルチャーを基本とした、小さなコミュニティを作りたいんだよね。今までの農業のスタイルじゃなく、新しいシステムを作って農業自体を変えていきたいんだ」

ローラと出会って一番最初の会話で、「パーマカルチャーって知っている?」と聞いたところから、ローラは海に関心を持ってくれていたらしい。

「まさか私のビジネスプランが固まった次の日に、海から相談があったから本当に驚いたよ。そしてもしかして海と一緒にできるんじゃないかと思ったんだ」

なんだか二人のエネルギーが繋がったような気がした。

 

ローラの構想はとても大きいので、一人でスタートするのはとても大変だ。

彼女は1年目のプランから、5年、10年、15年先までのプランまで練っていた。

そしてそれが海がやりたかったこととほぼ同じなので驚いた。

パーマカルチャーを基本に小さなコミュニティを作る

最近小さなコミュニティを作るということが、これから生きていくのにとても大切なのでは?と思い始めていた。

この田舎町に引っ越してきた6年半前から気になっていたパーマカルチャーは、自分たちだけではできないと諦めていた。

 

日本には、田んぼ、畑、誰も住んでいない実家を持っている友人がいる。

その友人に小さなローカルコミュニティを作ることに興味があるかどうか?聞いてみようかと思ったが、コミュニティを作るといってもどんなことをしたいのか、きちんと説明ができないのでやめた。

日本ではすでにそういう動きが活発で、いろいろな人たちがSNSやオンラインサロンなどで繋がって、一緒に農業をやったりしながらコミュニティを作り始めている。

アメリカ西海岸では30年以上前からそのような動きがあるが、東海岸の小さな田舎町ではまだまだだ。

それをローラと一緒にやっていくなんて、夢のような話だ。

みんなで助け合いながら、みんなが幸せになるようなコミュニティ作り。

ローラはそれを農業を中心として、新しいビジネスモデルを作っていく意気込みだ。

パーマカルチャーとビジネスをどうやって繋げていくのか?が大きな課題だ。

でもローラには明確なプラン(アイディア)があるようだ。

今までは夫婦二人で生きていくことばかり考えていたが、この土地に根を張って生きていこうと覚悟を決めたら、ものすごい勢いで状況が変わり出した。

10年後、15年後先など考えたこともなかったが、ローラのおかげで楽しみが今までよりももっと大きくなった。