アメリカではメモリアルデーが夏の到来の合図のようになっている。
気候もちょうどこの頃から一気に暑くなり本格的な夏がはじまり、高校生や大学生のアルバイトがやってくる。
ビーチの周りでは、時給が高いホテル、レストラン、バー、遊園地などなど、いろいろなアルバイトの募集が一気に増えるが、農場に働きにくる若い子たちは、比較的大人しい子が多い。
人とあまり喋るのが得意ではない子や、だまって黙々と作業をするのが好きな子、それでも最近では「農業ってクール!!」っていうノリでくる若い子もいる。
コロラドやNYの農場で働いた経験のあるマネージャーのヘザーが言っていた。
「農業って最近はちょっとポピュラーになっていて、『農場で働くのって格好いい!!』ってくる若い子がいるけど、実際に働くと大変な肉体労働だから、イメージと違うってちゃんと働く子がいないんだよね」
海が働いている農場にもポチポチと若い子たちが増えてきた。
毎年いろいろな若い子がくる。
まったくやる気がなさそうに見えるけど、休まずに毎日来る子もいれば、やる気は見せるけど、実際はまったく動かない子もいる。
一番大変なのは突然休むことだ。
そうじゃなくても、猫の手も借りたいほど忙しい時に、仕事に来ないということはしょっちゅうだ。
今一緒に働いているサラもそんな一人。
とても感情や仕事に波がある。
サラはファーマーズマーケットのメインスタッフだ。
来週から週に5日、マーケットが始まる。
遅刻をしたり、突然休んだりするので結構振り回されることも多い。
ヘザーから「海、一緒に彼女を育てて行こう!」と言われている。
オーナーのアンディがそういう思想の持ち主だと聞いた。
「アンディがいつも言っているんだよね。野菜だけじゃなく、人も育てる農場にしたいって」
アンディは本当に理想的なオーナーだ。
先日どこの部署で働いているかわからない黒人のおじさんと話す機会があった。
「何年ここで働いている?」
「私は6年目かな?」
「俺は15年働いているよ。俺の上司はあまり好きじゃないけど、アンディのためにはたらいているんだ。アンディもアンディの両親も本当に良い人たちだから、俺は辞めずにはたらいているんだ」
アンディは2つの会社のオーナーで、今3つめの会社を起こす準備をしている。
農場と繋がっている仕事でも、会社を分けないと法律上できないこともあるらしく、農場が大きくなると会社が増えるようだ。
そんな彼の元で長く働いている人たちは、本当にいい人が多い。
「人も育てる農場」
簡単ではないが、とても素敵な発想だ。
そんな農場で出来ることを考えよう!!