どこに住んでいても人にお世話になることが多い。
19歳で実家を出てから、なるべく親に迷惑をかけないように生きてきたつもりだが、東京にいた時も、アメリカの大都会に住んでいた時も、たくさんの人にお世話になり今の海がある。
日本人があまり住んでいないこの田舎町でちょっとした日本人の交流があり、同郷の日本人女性を紹介してもらった。
「私はちょっと苦手な人なんだけど、海さんと同郷だからもしかした話が合うと思って」
紹介をしてくれた人とは縁が切れてしまったが、同郷のKさんとは家族のようなお付き合いをさせてもらっている。
Kさんは私たち夫婦のことを「子供のように思っているから」と言って、本当の母のように気にかけてくれる。
Kさんの旦那さんはアメリカ人。強面であまり話さない人だったので最初はちょっと気を使ったが、夫の空ととても気が合い、今では気兼ねないお付き合いが出来ている。
海の生まれ故郷の特徴なのか?Kさんの家に遊びに行くと、帰りに山のような手土産を持たせてくれる。
Kさんは家庭菜園で日本の野菜を作っているので、野菜をたくさん用意しておいてくれる。
そればかりじゃなく、肉や魚、手に入りにくい日本の食材、調味料などもいつも買っておいてくれる。
うちからKさんの家までは約72マイル(約115km)車で1時間半はかかる。
行けても月に2回がやっとだ。
ここのところ急に寒くなってきたので、Kさんお勧めの暖かい靴下をわざわざ買って送ってくれた。
私たちが豊かで幸せな暮らしが出来ているのは、Kさんご夫妻のおかげがとても大きい。
「本当に気にしないでね。2人に何かをしてあげられることが私たちの幸せだから」
「お返しなんて考えないでね。もし将来余裕が出来たら、私たち以外の誰かに何かをしてさしあげて」
いつもこんな風に言ってもらえる。
こんなアメリカの片田舎で、親戚いや家族のようなお付き合いができる日本人の人に出会えるとは思わなかった。
私たち夫婦もいつか誰かに、たくさん幸せを与えられる存在になろうと誓っている。