2年前、たまたま近所に住んでいた日本人Mさんとの出会いがあった。
歩いても2、3分の距離の目と鼻の先に住んでいたのに、3年以上会うことがなかった。
そのMさんが農場で働きたいということで紹介をした。
「海さんは時給いくらですか?」
その時の海の時給は入った時と同じ$10だった。
4年間ずっと同じ時給だったが、いつでも好きな時に日本に帰れ、働く時間も自分で決められるような自由な環境だったので、まったく文句はなかった。
「私が時給を聞いたら、海さんと同じ$11と言われたのですが、あってます?」
「えーーーー。私は$10しか貰ってないです」
次の日にマネージャーのティムに言ってすぐに時給を上げてもらった。
そして先日またMさんと時給の話になった。
「全然きちんと働かない学生と時給が変わらないのって、なんだか割が合わない気がしますよね」
「え???学生っていくらもらっているんですか?」
「$12貰っているみたいですよ」
「えーーーーー!!」
またMさんのおかげで自分の時給が他の人よりも少ないことを知った。
つい2ヶ月ほど前に$11.75に時給が上がった。
そして2週間ほど前にまた上げてくれて$12になった。
それだけで海は呑気に喜んでいた。
家に帰って海が住んでいる州の最低賃金を調べたら、$11.75だった。
「もしかしたらずっと長い間、最低賃金ももらっていなかったのかも・・・?」
そして今は、学生たちと同じらしい。
そしてMさんはずいぶん前にお給料が上がり、今では$12.50になっているということだ。
「海さん、ちゃんと確認をした方がいいですよ」
そうMさんから言われ、次の日に人事兼経理のジェンに連絡をした。
「私はもう6年も働いてきて一度もお給料のことを聞いたことはないけど、学生と同じ時給って本当?もちろん今までパートタイムで働いていたけど、学生と同じだったらちょっと悲しいよ」
「海、悲しがらないで。ちゃんと考えるから」
そう言ってもらって、その日のうちに$12.25にあげてくれた。
海が農場に入った時とMさんが入った時では、農場の働く環境が大きく変わっていた。
Mさんが入る前の年までは冬にはスケジュールがカットされ、パートタイムでしか働けなかった。
しかしMさんが入った年から急に忙しくなり、Mさんはずっとフルタイムで働いている。
そして海は農場が忙しくなってきたタイミングで、日本とアメリカを行ったり来たりの生活をしていたので、自分事でパートタイムでしか働けない環境になっていた。
6年前から今年の春先に今の部署に異動するまで、ずっとパートタイムでしか働いてこなかった。
だから後から入ったとはいえ、Mさんより時給が低いのは納得するが、半分遊んでいるような学生たちと同じ時給というのは納得ができなかった。
「海、ここはアメリカだよ。ちゃんと自己主張していかないと損をするよ」
夫の空に言われた。
自分的には$12で喜んで満足していたのに、人と比べてしまうと不満になる。
人って欲張りなものだ・・・
そして最低賃金がそんなに上がっていたなんて、まったく知らなかった。
そしてこれを機に自分の住んでいる州のことを少し調べてみた。
これからも毎年少しずつ最低賃金があがり、2025年の1月には、従業員が15人以上いる企業の最低賃金は$15になるというスケジュールになっている。
本当かな???
でも海の予定では、もう2025年にはハワイに行っているはずだから、まあいっか!!