目に見えないことを信じている海は、ときどきスピリチュアルな本を読んだり動画を観たりする。
スピリチュアルという言葉はあまりしっくりこないが、人間が本来持っている霊性という言葉はしっくりとくる。
霊性の高い人たちはよく「エゴや執着心を捨てると、全てが上手くいきます」なんて事をいう。
エゴ(欲)や執着心を捨てるのはとても難しい。
でも最近、自分がちょっとイライラしたり、上手くいかないことがあるときに自分のエゴや執着心が見えるようになってきた。
1ヶ月前から、責任がある仕事を任された。
6年半、パートタイムで流れ作業の一員として働いてきたので、久しぶりに「仕事をしている」という感覚を味わいながら張り切っている。
このブログでも「余分な正義感と責任感」について書いているが
もう一つ、余分な執着心も湧いてきた。
「せっかく任されたこの仕事を守りたい」
これが執着心だ。
基本的に仕事は誰がやってもかまわない。
上手く仕事が回ればいいのだ。
自分が評価されたい
そんな思いから、仕事に対しての執着心が湧いてしまう。
そうするとどうしても、他の人の行動が気になってしまう。
自分に都合よく仕事が回るように行動してしまう。
それに気がついたので、執着心を捨てるように気をつけてみた。
仕事に行く車の中で
「愛をもってみんなと接しよう」
「仕事はみんなで仲良くやればいいじゃない」
「みんなが仕事をしやすいように行動しよう」
こんな言葉を口に出しながら、仕事に行った。
言葉を声に出すことによって、自分で自分をマインドコントロールできる。
前の日とは、気持ちがぜんぜん違う。
とてもゆったりとした気分で仕事ができる。
「水曜日はアンドレアのヘルプは必要ない?」
火曜日と水曜日が忙しい日なので、午前中だけ水耕栽培のハウスからアンドレアが手伝いに来てくれている。
火曜日の午後はヘルプとしてファーマーズマーケットに行っていたので今までは水曜日の準備ができなかったが、やっと行かずに済むようになったので準備ができる。
準備が整っている水曜日は一人でもできるので、アンドレアが来てくれると海の仕事がなくなる。
それでも「みんなで仲良くやればいいじゃん」と、海は他の仕事をみつけてやっていた。
仕事への執着心を手放した途端、マネージャーのヘザーがアンドレアの有無を聞いてきてくれた。
「水曜日は一人でできるから大丈夫だよ。もし大変になったらまた頼むかもしれないけど」
もう一つ、執着を手放したら変わったことが起こった。
ヘザーがこんなことを言ってきた。
「最近、サラの行動が変わってきたよ。もう少し時間はかかるけど、良い感じになりそう。海はどう思う?」
一緒にヘザーの元で働いているサラは、海に対してちょっと高飛車な態度だった。
まだ21歳で自分の子供でもおかしくないような年齢なので気にしないと思っていたが、3ヶ月前の面接の時に、サラを雇ったセールスマネージャーのティムから「マネージャー候補で・・・」と言われたらしい。
現場ではヘザーがマネージャーなのに、なんでそんなことを言うのか???
ティムの悪い癖だ。
まだ仕事ができるか、できないかわからないうちにポジションを与えるような発言をする。
若い子のやる気を出しているのかもしれないが、経験のない若い子たちは仕事もわからないのに勘違いしてしまう。
「サラとちゃんと話をしたんだ」
海が仕事に対しての執着心を捨てサラの行動を受け入れたら、ヘザーが動いてくれてサラの海に対しての言動が変わった。
今まではとても上から目線だったが、目線が同等になった。
海の仕事を手伝おうとしてくれるときもある。そんな時は、下から目線だ。
「サラの私に対しての態度が変わって、とても働きやすくなったよ」
ヘザーに伝えるととても喜んだ。
「良いチームになりそうだね」
エゴや執着心を捨てるのはとても難しいが、自分のそれらに気が付けるようになったのはとても大きい。
何か上手くいかない時や、イライラしている時は自分のエゴや執着心と戦っているときだ。
周りを変えようと思っても変えられない。
自分を変えることはできる。
余分なものはさっさと捨てていく。
もっと身軽に、もっと軽やかに・・・