夫の空はまた飛ぶことを始めた。
30代の時にプライベートライセンス(自家用操縦士)の免許を取得し、それからしばらく飛ぶ事から離れていた。
54歳の今、プライベートライセンスの次のステップ、計器飛行の免許取得に再チャレンジ。
空の仕事は週に4日、1日10時間勤務そして、月、火、水曜日休みだ。
休みの3日間、すべてフライトの予約を入れている。
「今日も飛べなかったよ」
予約をしたからって、毎回飛べるわけじゃない。
風、雲、雨、天候の状況で週に2回飛べれば良い方だ。
特にここの地域の天候は変わりやすい。しかもフライトスクールは海のすぐ近くなので、風の影響をかなり受ける。
フライトスクールまで家から車で45分。
フライトキャンセルの場合は、1時間前にインストラクターから連絡が来ることになっている。
今日は朝から晴天、絶対に飛べると思っていた。
「今日は途中まで行ったけど、諦めて帰ってきた」
「えっ???そういうこと?」
今日のフライトの予約は午前10時。
8時半頃にインストラクターから連絡があって、9時ごろから風が出てきそうだけど、自分で判断するように・・・とのことだったらしい。
家を出る9時頃の風はギリギリ飛べそうな風速だった。
車を走らせ家からフライトスクールまで3分の2ほどのところで、風がだんだん強くなってきて、自分の判断で諦めたらしい。
「なかなか飛べない、このペースじゃ計器の免許を取るのに1年はかかっちゃうよ」
好きなことを1年間も楽しめると思えば良いじゃんね。