最近空と海は気に入っているYouTube動画がある。
沖縄の島でコーヒーとパン作りをメインにしている動画だ。
「もう、いちいちお洒落!!」
海はこの動画を見るたびに口走ってしまう。
海が「いちいち」と付けるのは羨ましさからの僻み、からくる嫌味発言だ。
海はあまり人を羨むことはないが、久しぶりに彼らの生活は眩しかった。
オーシャンビューの映像が本当にオシャレなのだ。
夫の空はあまり羨ましいとは感じないらしい。
「良いな〜と思うけど、羨ましくは思わないよ。参考にはなるけどね。」
自分にもできると思っているからだ。
残念ながら海にはお洒落なセンスが備わっていない。
創作の才能もない。
だからお洒落なことを創作できる人をとても羨ましいと思ってしまうのだ。
空と動画を見ながらたわいのない会話をしていた時
「そうか、お洒落はお金になるんだ。」
急にこんな考えが湧いてきた。
海は今までお洒落=お金ということを分かっていなかった。
ファッションだけでなく、お洒落なことはすべてお金に繋がる。
たぶん感覚としては持っていたような気がするが、頭ではぜんぜん理解していなかった事実だ。
スティーブ・ジョブズを愛する空が言う。
「Macのフォントは美しい、とてもお洒落だ。だから俺は大好きなんだ。」
海は24歳から34歳まで東京のど真ん中で飲食店を経営していた。
その時のプライベート兼ビジネスパートナーはお洒落な人だった。
海はお洒落だとは思っていなかったが、周りの人からお洒落な人と言われていた。
お店のデザインも彼がやった。
お店の調度品も彼が全て集めた。
お料理を作るのもお皿を選ぶのも彼だった。
「このお店は全くお金がかかってないけど、とってもオシャレね。」
お店に遊びに来てくれたデザイナーの人から最高級の褒め言葉を頂いた。
彼は着るものはいつも決まっていた。
下着も靴下もこだわりを持っていて、同じ色、形のものを何着も持っていた。
そんな彼と経営していたお店が成功したのは彼のお洒落のセンスからだった。
彼のセンスでお店が成功したことは分かっていたが、お洒落=成功(お金)とは思っていなかった。
お店に集まる人たちもお洒落な人が多かった。
みんな才能溢れる人たちだ。
そんな人たちに囲まれていたので、海の人や物を見る目は養われた。
「俺はお洒落だと思うよ。」
とつぜん空が言った。
海は空のことをセンスはあると思っていたが、お洒落なところはぜんぜんみていない。
”センスが良い”のと”お洒落”は海の中では微妙に違う。
「お洒落はお金だと気づいた時に、お洒落なことは全てやめた。キリがない。」
空は今までインプットのお洒落しかしていなかったのだ。
だからお金がかかるお洒落を空の生活から全て省いたのだ。
アウトプットのお洒落を創作できれば、今までお金に縁のなかった空も・・・・
そんな期待をしてしまう海だった。
追記
空と海のお気に入りの動画に興味がある人はこちら