好き勝手、好き放題に生きてきた海は、思ったことも口に出してきた。
若い時は喧嘩もたくさんしたし、大人の人から生意気過ぎると注意されたことも1度や2度ではない。
どちらかというと、喧嘩(戦う)が好きだった。
勝ち負けは関係なく、思っていることを口に出さずにいられなくて、言いたことを我慢するくらいなら、喧嘩しをしてでも自分の主張を押し通していた。
若い頃は自分を大きく見せたいと、自分のことを認めてもらいたいという気持ちが強かった。
48歳の今になってやっと、そういうことは無意味だということに気がついた。
まだ多少「認めてもらいたい」という気持ちが見え隠れすることもあるが、「認めてもらう必要なんてないんだよ」と自分に言い聞かせている。
誰かに認めてもらわなくても、自分で自分のことを認めてあげればいいのだ。
今働いている農場では、アメリカ人、メキシコ人、日本人(2人)。
年齢も10代から40代後半まで。
今のところ、海が最年長で人生経験豊富。
自分の子供のような歳の子たちと働いていると、言いたいことが山ほど出てくる。
それを黙って見守る。
もちろんタイミングを見計らって、教えることもある。
もともとお節介な性格なのだが「余分なことは手出し、口出しをしない」ということがやっと出来るようになった。
思っていることをいちいち口に出さない方が、気持ちは常に安定している。
言いたいことを言った方が気持ちが楽になりそうだが、そうではない。
余計にイライラしたり、衝突をしてストレスの原因になることの方が多い。
自分のやりたい仕事、そして落ち着きたいポジションもある。
今までなら、それを獲得するために自己主張とアピールをしてきた。
でももうその必要がないことに気がついた。
自分がその仕事、そのポジションに適切なら、自然とできるようになるからだ。
無理をしてアピールをしたり、自己主張する必要なんてない。
これに気がついてとても楽になった。
今まではいつも必死に何かと戦っていたのが、今では自然の流れに任せて「今できること」を一生懸命にやっていれば、自分が進むべき道がちゃんと用意されていることを知ったから・・・
自分を俯瞰することが出来るようになった今、さらに軽やかに生きられるようになった。