夫婦喧嘩は犬も食わぬ
喧嘩をすると余計なエネルギーを使う。
エネルギーが有り余っている若い時は多少喧嘩をしてもダメージは少ないが、歳を重ねてくると、なるべく楽しいことにだけにエネルギーを使いたい。
結婚をした当初、夫の空といつも喧嘩をしていた。結婚をする前は、会えば必ず喧嘩をしていた。
完璧主義だった空(今は昔ほどではない)、大雑把な海(今も変わらず)、些細なことでいつも喧嘩をして、お互いに自分の方が正しいと譲らなかった。
その頃よりも年々喧嘩の回数は減ってはいたが、それでもつい最近までは一緒に仕事をすることは考えられなかった。
「空とは一緒に仕事は出来ないね。お互いのやりたいことを尊重して、今までよりももっと自由に好きなことをして生きていこうね」
去年まではこんなことを言っていた。
しかし今は一緒に畑仕事(自分たちの畑)をしている。しかも喧嘩をせずに・・・
「今日は何時まで仕事をする?」(空)
「やってみてから決めようよ。今日は暑そうだから2〜3時間で帰ってきても良いし、出来そうだった午後までやっても良いしね」(海)
「・・・・」(空)
空は計画を立ててから始めるのが好きだが、海はその時の体調や気分で決めたいタイプだ。
「今日は畝を1本作ったら終わりにしようか?また明日の午前中に来て、もう1本作ろう!」(海)
「目標ができたら頑張れるよ。いつまでやるのかわからないまま作業するのは辛いよ」(空)
作業をしながらお互いの違いがハッキリとした。
なぜ空は最初に計画を立てたいのかというと、作業を全力でやるからだ。
”やるときはやる男” スイッチが入ると、全力投球だ。
だからズルズルとした仕事のやり方が好きじゃないのだ。
海は全力ではやらない。
空が100%だとしたら、海は70〜80%くらいの力で、なんとなくその日の天候、気分、体力を考えて作業をする。
だから空は100%力が出せないくらい体がしんどい時はやりたがらないが、海は多少具合が悪くても作業ができる。50〜60%の力で作業をすればいいからだ。
お互いに違うことがわかっていても、なかなか何がどういう風に違うのか?を見つけることは大変だ。
その違いを見つける方法は、まずは自分を知ること。
空がいつも100%で仕事をすることを知っていたが、自分がその程度の%で仕事をしていることに今まで気がついていなかった。
自分のことがよくわかっていないから、「なんで空はいつも〜なんだろう?」と思っていた。
しかし自分のことを知ると、相手のこともよく見える。
自分のことを知ることはちょっと怖いこともある。
自分で自分のことを隠していたり、騙していることもあるからだ。
人間は必ず、良い自分(好きな自分)と悪い自分(嫌いな自分)が共存していると思っている。
相手に何か言われてムッとするときは、自分が認めたくない悪い自分のことを言われた時だ。
その両方の自分が居て全てなのだから、悪いところも認めてあげて他人事のように「こんな自分もいるんだな」くらいに思って、「そんな悪い自分も全部好き」にしてしまえばいいのだ。
自分への理解が深まり自分を認めてあげると、なぜか不思議と相手のことも理解できるようになるのだ。
相手への非難や中傷をしているときは、自分のことを全く理解していない時だと今なら言える。
自分の悪いところもわかっていると、相手の悪いところも理解したり許せたりできる。
「ま〜お互い様か!!」と思えるからだ。
日本語は素晴らしい!!良い言葉があるではないか。
まだまだ自分のことへの理解は完璧ではないが、空との喧嘩はほぼなくなった。
ということは、空も自分のことを理解しつつあるということだ。