新しい職場で働き始めて3週間が経った。
農業に変わりはないが、630エーカーの農場と12エーカーの農場では、効率が全然違う。
収穫のタイミングを天気を予想しながら決めなくてはいけない農業は、ギャンブル性の高い仕事だ。
間違えると作物がダメになったり、収穫量が減ったりしてしまう。
大きな農場じゃないと経営は難しいと思っていたが、全てに目が届く小さな農場の方が効率よく経営できるかもしれないと思い始めた。
大きな農場にはメキシカンが夏は20人ほど、冬は7〜8人ほど働いてたが、小さな今の農場では3人だけ。アミーゴ(男)1人、アミーガ(女)2人。
スパニッシュが少し話せる海は、すぐに仲良くなった。
小さな農場で働くようになってから、2〜3キロ体重が落ち、中学生の時以来のベストの体重になった。
アミーガ達から見たらやせっぽちで、外で男仕事をしている海のことを心配してくれて、毎日のように手作りのメキシカン料理やドリンクを持ってきてくれる。
9歳年下のアナイはまるでお母さんのようだ。
「海、今日は寒いからこれを飲んでから収穫に行きな!」(アナイ)
カップに入れてくれたのは、どうみてもミルク。
「ホットミルク?」(海)
「レチェ・コン・アロス(ライス入りミルク)」(アナイ)
ほんのり甘いライス入りホットミルクはちょっと抵抗があったが、全部飲み干したら体がポカポカしてきた。
ランチは仕事の区切りがついた人から食べるから時間は決まっていないが、一緒に食べる時もある。
その時は、自分達が持ってきたメキシカンライスやパスタ、トルティーヤなど分けてくれる。
まだ31歳で16歳の息子がいるラケルはエル・サルバドール出身。
彼女はサルバドールのソウルフードのサンドイッチ(名前を忘れた)やタマレ(メキシカンフード)など、作ってきてくれる。
彼女たちの料理は美味しい!!
特にサルバドールのサンドイッチは、昔食べたような懐かしい日本的な味がした。
「海は私たちに何も作ってきてくれないの?」(アナイ)
「水曜日に作ってくる予定をしてたのに〜。アナイの誕生日でしょう?」(海)
前にも1度言われたが、誕生日の日にサプライズで喜ばせようと思っていたので、はぐらかしてきた。
2回も言われると・・・もうサプライズではなく、普通にランチパーティーをすることにした。
「水曜日はランチに何も持ってこなくて良いからね」(海)
メニューは唐揚げ、チャーハン、ブロッコリーレーブのバターソテー。
あまり日本食っぽくないが、彼女たちが喜んで食べてくれそうなものにした。
当日の朝作るのは大変なので、前の日の夜全部用意した。
いつもなら半分寝ているリラックスタイムに頑張って作っていたので、夫の空が後片付けなど全部引き受けてくれた。
オーナーのマットと、一緒に外で働いているミゲルの分も用意して準備オッケー!!
反応は???
美味しいとは言ってくれたが、反応は期待していたよりも薄い。
みんな残さずに全部食べてくれたので、結果オーライ。
日本人のように無理をして食べないこちらの人たちは、嫌だったら残すし、食べない。
食べてくれて良かった!!
ミゲルは月、火と他の仕事に行っていて農場に来なかったので、海がランチを作ってくることを知らずに買ってきていた。
「これは海が持って帰って」(ミゲル)
もらったのは、牛肉、エビ、玉ねぎ、ピーマンの炒め物。
日本でいうご飯のおかず。メキシカンはこれをトルティーヤに巻いて食べる。
食は愛、食は命
命の源になる農場で働いて、食と愛で繋がる仲間たち。
職場で異文化交流ができる、この環境を作ってくれているマットとステファニー(妻)に感謝だ。