やっと持てるようになった 仕事を休む勇気

「今日は頭がちょっと痛いから仕事を休ませてもらいます」

今までの海だったからこれくらいの頭痛で仕事を休むなんてありえなかった。

特に20代、30代は飲食店を経営していたので、どんなことがあっても仕事は休まなかった。

15年ほど前の忙しい師走の時期、常連のお客さんの予約が入っていた。

ギリギリまで仕込みをしていて、まかないを作る時間がなかったので近所のお寿司屋さんでサバ寿司を買ってきた。

「まだ〆が甘いから、もう少し経ってから買いに来て」

と言われたが、あまり締まりすぎていない方が好きだったので、その場ですぐに作ってもらい、開店前急いでサバ寿司を頬張った。

営業が終わり、最後のお客さんが帰ったあとものすごい胃けいれんに襲われ、近くの救急病院に行った。

アニサキスによる急性胃炎です。今日はこのまま病院に泊まって明日様子を見ましょう」

明日はまた違う予約が入っていて、朝早く築地に買い出しに行くことになっていた。

「点滴が終わったら帰ります」

こんなことは日常茶飯事だった。

靭帯を痛めギブスをしても、足を引きずりながら仕事をした。

1度だけ入院をしたことがあったが、その時だけは仕方がなかった。

そんな生活をしていたので、仕事を休むなんて考えられなかった。

そんな考えを少しずつ変えてくれたのは夫、空の存在だ。

「いつまでも根性では体が続かないよ。休む方が時には早く体がリカバリーすることもあるから、無理せず仕事を休んでほしい」

何年もこう言われていたが、最近やっと仕事が休めるようになった。

休むことは「悪」の幻想

なんとなく「休むということは悪いこと」ということを子供のころから植えつけられていたような気がする。

学校を休まずに行くと、「皆勤賞」と先生や親に褒められた。

特に海は学校が大好きでほとんど皆勤賞をもらっていたので、休むことに罪悪感を感じていた。

これはある意味の洗脳なのかもしれないと、最近になってやっと思えるようになった。

無理して仕事に行っても、風邪を同僚に移してしまうかもしれない。

体が怠いと仕事の効率も悪い。

無理をしても風邪が長引くだけで、なかなか体調が戻らない。

何にも良いことがない。

思い切って、1、2日休めばすぐに体調が戻る。

なんで休むことは悪いなんて今まで思っていたのだろう???

生活の安定の大切さ

今まで長い間不安定な生活を送っていた。

仕事を1日休んだら、明日からの生活が・・・

これはちょっと大げさだが、経済的にも精神的にも安定した生活を送っていなかったので、1日の収入がなくなる不安があったので「休む」という選択ができなかった。

東京で飲食店をやっていた時も日銭商売。

1日の売り上げはとても大切だった。

もっと大切だったのは、常連さんの存在だ。

週に何度も来てくれるお客さんが、足を運んでくれたのにやっていなかったとガッカリさせたくない思いが強かったので、休めなかった。

今やっと生活も安定し、1日くらい休んでもなんの問題もない。ものすごい進歩だ。

年齢的なもの

若い時に無理をし続けてきた海は、無理をするのが当たり前になっていた。

はっきりいうと、「無理をする」ということもよくわかっていなかった。

仕事を休まないのが当たり前過ぎたので、「無理をして仕事をする」という感覚は全くなかった。

仕事をして当たり前だから、無理とか無理じゃない関係なしに仕事は「する」ものだったのだ。

アラフィフになり変わったことは「体調が悪いのが嫌」ということだ。

若い時は毎日のように二日酔い状態だったので、体調が悪いのも当たり前だった。

頭が痛い、肩が凝るなんて毎日のことだった。

今は頭が痛くなるのは嫌だから、お酒はやめておこうと思える大人になった。

体調が悪い自分に耐えられない体になってきた。

だからこそ、ヨガをしたり瞑想をしたりして心と体の体調を整えるように日々気をつけている。

それでもたまに食べ過ぎたりして胃が重かったり、便秘になったり反省する日もある。

そして最近は体調が悪くなるサイクルがわかったきた。

食べ過ぎ→便秘→頭痛→体調悪化

だいたいこんな感じだ。

今回の頭痛もちょっと食べ過ぎが原因かもしれない。

若い時は体調が悪いまま仕事をしても、仕事をしているうちに体調が戻ることの方が多かったが、今は長引くことが多くなってきた。

ちょっとでも体調が悪い時は、思い切って休むのが一番。

とにかく寝るのが一番だ。

 

これからはますます体に優しく、無理をせず休みながらのんびり生活をしていこうと思っている。

まだ人生は長いのだから・・・